この度、第43回日本臨床細胞学会近畿連合会学術集会は滋賀県臨床細胞学会が担当させて頂くことになりました。現在、この伝統ある学術集会を実りある会にしたいと少数精鋭の実行委員会が総力をあげて準備しております。
今回の指定演題のテーマは迅速細胞診(ROSE)に致しました。術中迅速診断は凍結組織診と迅速細胞診(ROSE)に大別できます。凍結組織診断はすでに確立されたものと思われますが、この欠点を補完すべき役割を担うのが迅速細胞診(ROSE)であると思います。その対象はあらゆる臓器、体腔液に及んでおり、近年その有用性が報告され、診断成績の向上に寄与しています。しかし、より高い診断精度の確立が必要な事も事実であり、近畿六府県でのROSEに関する取り組みについて議論できればと考えて、指定演題のテーマとして選びました。奇しくも私の前任地である島根医科大学時代の1994年春に松江で開催された第35回日本臨床細胞学会総会において、術中迅速細胞診に関するシンポジウムが行われ、その有用性や問題点について活発な討論がなされたのが思い出されます。また、2010年の診療報酬点数表が改定から病理診断の項目に,手術の途中における胸水・腹水などの術中迅速細胞診が新たに加わり,1手術につき1回450点を算定することができるようになったことは我々細胞診断に携わる者にとってのインセンティブとなっています。
さらに、特別講演を1題(帝京大学病理診断科 笹島ゆう子先生の「卵巣腫瘍・卵管癌・腹膜癌取扱い規約〜上皮性腫瘍における改訂点〜」)、教育講演を1題(相澤病院臨床検査センター病理診断科 樋口佳代子先生の「唾液腺細胞診の国際報告様式“ミラノシステム”の概要と運用について」、スライドカンファレンスを4題(婦人科、胆肝膵、呼吸器、泌尿器の各分野から1演題ずつ)、ランチョンセミナーを1題(山梨県厚生連健康管理センター 寺本勝寛先生の「子宮頸がん検診の精度管理―HPV併用検診と最近の知見―」)をプログラム致しました。今回の学術集会が皆様の明日からの細胞診断学にお役に立てば幸いです。
滋賀県といえば琵琶湖です。会期の10月1日は紅葉の時期にはまだ少し早いと思いますが、学会での活発な討論に参加する前に頭のリフレッシュで近くの延暦寺や三井寺、石山寺を散策するのもよいと思います。
近畿6府県の皆さまのたくさんのご来滋を心より歓迎いたします。
第43回日本臨床細胞学会近畿連合会学術集会
会長 橋健太郎(滋賀県臨床細胞学会 会長)
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